専門家からのアドバイス

傷あとのケアの大切さについて
それぞれの専門家の先生に
意見を伺いました。

アトファイン/傷あとケアテープ

手術後の傷あとについて

傷あとをきれいにする専門家である形成外科医の小川先生に、
テープを使って傷あとをケアする必要性や、
肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん・ケロイドに
なってしまった場合についてお伺いしました。

小川 令先生
日本医科大学 形成外科 主任教授 

傷あとが1-2ヵ月して徐々に赤く盛り上がってきたら肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドの可能性があります。
たとえば帝王切開のあとの傷が盛り上がって痛みや痒み、引きつれなどを生じます。これらは皮ふの深い部分で持続する炎症によっておこります。
術後体力を回復しようとして腹筋などをしてしまうと、皮ふが引っ張られ、炎症が増強します。

お腹の傷の場合、術後3-6ヵ月は腹筋や運動などで皮ふが激しく引っ張られることを避ける必要があります。そのため、術後まもなくからテープで傷を固定してしまうことが大切です。

日常生活ではどうしても立ったり座ったりしてお腹の皮ふが引っ張られたり、服でこすれる刺激が加わりますから、傷あとに負担がかかります。
しっかりとテープ固定をしていたとしても、高血圧やホルモンの状態などによる体質によって炎症が強く生じた場合は、肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドが増大していくことがあります。

このような時は、できるだけ早くから副腎皮質ホルモンのテープ剤を貼り始めることが大切です。
早く始めれば始めるほど、早く改善します。この薬を使用するには処方箋が必要となりますので形成外科や皮膚科にご相談ください。

このようなケアや保存的な治療を行うことで大部分の肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドは治癒しますが、あまりに大きくなってしまったものは、手術と術後放射線治療を組み合わせた治療を行うこともできますので、形成外科にご相談下さい。

治癒した肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドは、白い目立たない平坦な傷あとになります。

帝王切開による出産後の体のケアについて

助産師である横手先生に、帝王切開後の体のケアと、
テープで傷あとをケアできるメリットについてお伺いしました。

横手 直美先生
中部大学 生命保健科学部 保健看護学科 准教授/助産師 

治ったはずの帝王切開のおなかの傷が痛むことがありませんか。また衣服が傷に当たるのが気になって、おしゃれができないということはありませんか。
将来、お子さんに「ねえ、ぼく(わたし)赤ちゃんのときどこから生まれてきたの?」と尋ねられたらどうしよう、と不安になったことはありませんか。

帝王切開ママを悩ませる要因の一つは、おなかの傷をケアしたくても、ケアする時間的余裕がないことです。
おなかの傷が気になって、今までのように活動的になれないことです。お産後は赤ちゃんのことが最優先となり、お母さん自身の体のセルフケアは後回しになりがち。
そんなママたちにとって「時短」で、安心して傷あとのケアができるのは、助産師としても嬉しいですね。

お母さんの心のケアについて

ご自身の体験を基に、帝王切開で出産したママたちの
心に寄り添う活動を
20年近く続けていらっしゃる「帝王切開カウンセラー」の細田さんに
お母さんの心のケアについてお伺いしました。

細田 恭子さん
(帝王切開情報サイト「くもといっしょに」) 

大切ないのちと出会う決断をして、
おなかの真ん中に、決して小さくない傷をつくることを選んだわたし。
もちろんその傷があるからこそ無事にこの子に会えました。

でも”妊娠中もっとこうしていたら、おなかに傷をつくらずにすんだのでは…”
と後悔することもあるのです。
そして、お腹の傷よりも、もっともっと悲しかったのは、大切な人からの思いがけない言葉。
「どうしてちゃんと産めなかったの?」「陣痛を経験してないんだ…」心の痛みが傷の赤みと重なります。

だからまずは傷をきれいにしてあげましょう。自分の身体をケアすることで、心も少しずつ軽くなるのを実感するはずです。
命をかけて新しい命を産みだした10数センチの傷「いのちの窓」。
あなたが生まれて来てくれたところだよって笑顔で伝えられますように。