傷あとに関する基礎知識
手術の傷(縫った傷)の治る過程
手術の傷(縫った傷)は、炎症期・増殖期・成熟期を経て治っていきます。
手術から3日程度で傷口が閉じますが、皮ふの下では炎症が続いています。
この期間に、肥厚性瘢痕・ケロイドになる要因が加わると、炎症が継続し、
赤く盛り上がった目立つ傷あとになることがあります。
ダウンロード【知っておきたい!手術後の傷あとケア
~目立たない傷あとを目指して~】
手術の傷(縫った傷)は、炎症期・増殖期・成熟期を経て治っていきます。手術から3日程度で傷口がとじますが、皮ふの下では炎症が続いています。
この期間に、肥厚性瘢痕・ケロイドになる要因が加わると、炎症が継続し、赤く盛り上がった目立つ傷あとになることがあります。
手術の傷(縫った傷)の治る過程
- 炎症期
-
縫合後〜3日後
再上皮化が起こり、傷口が閉じます。赤い腫れや痛みが生じます。
治る過程で、
傷あとを目立たせる
原因
(体質・物理的刺激)
が
加わると
- 増殖期
-
3日後〜
新しい細胞が増殖し、傷のスペースを埋めていきます。赤みや、軽いかゆみが生じます。
肥厚性瘢痕
もとの傷に沿って盛り上がり、赤みやかゆみが生じます。
※肥厚性瘢痕が悪化するとケロイドになります。
※肥厚性瘢痕は自然に治まることもあります。
- 成熟期
-
3週間後〜1年後
細胞の活動が落ち着き、肌の色に近い傷あとになります。
ケロイド
もとの傷の範囲を超えて赤みと盛り上がりが広がります。痛みやかゆみが増します。
目立つ傷あと
(肥厚性瘢痕やケロイド)になる要因
体質
- ●女性ホルモンや高血圧
- 近年の研究により、女性ホルモンや高血圧がケロイドの重症化に関与することが分かってきました。
- ●未知の遺伝的因子
- まだ要因が特定できていませんが、ケロイドになりやすい体質は遺伝する傾向にあります。
物理的刺激
- ●伸展刺激
- 傷あとや周辺の皮ふが引っ張られることで炎症が生じます。
- ●摩擦刺激
- 衣類などとのこすれによって炎症が生じます。
- ●紫外線
- ●テープをはがす時の刺激
- 傷あとを保護しているテープをはがす時の刺激によって炎症が生じます。
物理的刺激はセルフケアで予防することができます
傷あとケア専用のテープを使った
物理的刺激の抑制効果
1.伸展刺激の抑制
タテにもヨコにも伸びにくいため、傷あとが引っ張られるのを防ぎます。
2.摩擦刺激の軽減
衣類や下着などとのこすれから傷あとを守り、摩擦刺激を軽減します。
3.紫外線
紫外線カット率の高い素材が傷あとを守ります。
4.テープをはがす時の
刺激の軽減
傷あとケア専用のテープは肌にやさしい粘着剤を使用しているため、はがす時の刺激が少ないです。
監修: 日本医科大学形成外科主任教授 小川令先生