傷あとに関する基礎知識

目立つ傷あと
肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん・ケロイド

手術の傷(縫った傷)は、傷あとが赤く盛り上がって目立つ傷あと(肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん、ケロイド)になることがあります。
肥厚性瘢痕やケロイドは外観上の問題だけでなく、かゆみや痛みを生じることもあります。

手術の傷(縫った傷)は、傷あとが赤く盛り上がって目立つ傷あと(肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん、ケロイド)になることがあります。肥厚性瘢痕やケロイドは外観上の問題だけでなく、かゆみや痛みを生じることも あります。

肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん
  • 帝王切開の症例
  • 腹腔鏡手術の症例
  • もとの傷の範囲で赤みや盛り上がりが生じる
  • 軽いかゆみや痛みがある
  • 時間が経てば、自然に治ることがある
     
ケロイド
腹腔鏡手術の症例
  • もとの傷の範囲を超えて赤みや盛り上がりが広がっていく
  • 強いかゆみや痛みがある
  • 自然に治ることが少ない

(肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイド)になる要因

肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドになる要因には、体質や物理的刺激があります。
体質は予防やケアは難しいですが、物理的刺激は、傷あとケア専用のテープを用いたセルフケアで予防することができます。

体質
●女性ホルモンや高血圧
近年の研究により、女性ホルモンや高血圧がケロイドの重症化に関与することが分かってきました。
●未知の遺伝的因子
まだ要因が特定できていませんが、ケロイドになりやすい体質は遺伝する傾向にあります。
物理的刺激
伸展刺激しんてんしげき
傷あとや周辺の皮ふが引っ張られることで炎症が生じます。
摩擦刺激まさつしげき
衣類などとのこすれによって炎症が生じます。
●紫外線
●テープをはがす時の刺激
傷あとを保護しているテープをはがす時の刺激によって炎症が生じます。

物理的刺激の中でも、伸展刺激しんてんしげきの抑制
(皮ふを伸ばさないこと)が特に重要です。
傷あとケア専用のテープを使うことで、
伸展刺激しんてんしげきを抑制できます。

  • 皮ふが引っ張られる方向に、
    赤みや盛り上がりが拡大している症例

  • 肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドが発生しやすい部位

    皮ふがよく動く部位にケロイドが
    発生しやすい。

肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん
ケロイドになってしまったら

肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドの状態によって、種々の治療方法を使い分けて治療します。

肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドは、
形成外科や皮膚科で治療することができます。
傷あとが気になる場合は早めに
医師に相談しましょう。

セルフケアで
肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん・ケロイドを予防

手術後の傷あとケアを適切に行い
肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんやケロイドを予防しましょう。

監修: 日本医科大学形成外科主任教授 小川令先生